フリーランスの単価交渉はいつ切り出すか|単価を決めるSES経営者が見た「更新時」と「増員時」

単価を決める側から見たタイミング フリーランス

この記事の要点

  • 初回契約は実績という判断材料がないため、発注側から見て最も買い叩かれやすい
  • 余地があるのは契約更新時(3ヶ月・6ヶ月経過後)と、現場の増員が決まった瞬間
  • 精算幅の下限(140時間)を下回ると控除が入るため、単価だけ上げても支給額が増えない月がある

筆者はフリーランスの単価を決める側にいる|読者と利害が対立しうる立場の開示

筆者はSES企業を経営しています。フリーランスエンジニアに案件を紹介し、単価を決める側です。フリーランスエージェントとは一部で競合する立場にあります。

この記事は、交渉を受ける側の視点で書きます。読者と利害が対立しうることを、最初に明記します。

筆者は以前、フリーランスエンジニアとして複数のエージェントに登録し、面談も受けました。その経験も踏まえています。

自社の案件は、エンド企業から直接、または元請けSIer(1次請け)から直接受けるものが中心です。典型的な商流は次の形になります。

エンド企業 → 元請けSIer(1次) → 自社(2次) → 要員(フリーランス)

商流が1つ挟まるごとに、おおむね10〜15%のマージンが発生します。これは自社が関わる商流での実数です(出典: 2026年10月時点の運営者本人の記録より)。

自分の立場に不利な結論も書きます。多くの場合、エージェント経由のほうが要員の手取りは高くなります。理由はマージン率そのものより、商流の深さです。

主要エージェントは、マージン率を公式に公開していません。他社のマージン率は、この記事では断定しません。商流の計算は商流マージン計算機とエンジニアの単価が手取りになる割合で確認できます。

初回契約が一番弱い|発注側には実績という判断材料がない

初回契約は、単価が買い叩かれやすい時期です。発注側に実績がないからです。判断材料は、面談での受け答えだけになります。

筆者が面談で深掘りされたのは、次の3点でした(出典: 2026年10月時点の運営者本人の記録より)。

  • 直近のプロジェクトでどんな意思決定をしたか
  • トラブル時の対応実績
  • リモートでのコミュニケーションスタイル

希望単価も、「これ以下なら受けない最低ライン」と「目標ライン」に分けて出すよう求められました。

筆者が2024年ごろにレバテックフリーランスで受けた1件では、次のように着地しました。

項目 金額(月)
当初の提示 80万円〜(下限)
クライアント面談での評価後の契約額 83万円(当初提示の下限80万円から+3万円)

面談での評価が高かったことで、当初の下限80万円から3万円高い83万円になりました。ただし、これは1件の実体験です。提示額はこのように上がることがある、という程度に受け取ってください。

相場の目安はエンジニアの単価相場と提示額、面談で聞かれた内容の詳細はフリーランスエージェント3社の面談で聞かれたことに書いています。初回で無理に上げ続けるより、面談の受け答えで実績を補う考え方が現実的だと、筆者は感じています。

余地がある時期1|契約更新時に「抜けると困る人」になっておく

交渉の余地が生まれやすいのは、契約更新時です。3ヶ月・6ヶ月が経過すると、発注側に実績という判断材料ができます(出典: 2026年10月時点の運営者本人の記録より)。

ただし、時期が来るだけでは足りません。現場で「この人が抜けるとプロジェクトが止まる」状態を作ったうえで交渉することが前提です。

発注側から見ると、単価が上がる人と上がらない人には違いがあります。筆者の発注側としての記録を表にまとめます。

上がらない人 上がる人
与えられたタスクを書くだけ 課題を言語化できる
仕様の不備を指摘できない 現場の意思決定コストを減らせる
現場でのコミュニケーションコストが高い ドキュメント化、技術選定の根拠説明、他メンバーのメンターまで巻き取れる

技術力があっても、上がらない人はいます。単価は技術力だけでは決まりません。

引き留める動機は、発注側に構造的にあります。要員が抜ければ、その契約の売上が止まるからです。これは発注側としての一般論です。特定の会社の社内事情を指すものではありません。

エージェントの営業がマージンを削って単価に充てるかどうかは、他社の社内決裁の話です。ここでは断定しません。

余地がある時期2|現場の増員が決まった瞬間が効く理由

2つ目の時期は、現場の増員が決まった瞬間です。

既存のフリーランスが、新しく入る人の紹介、面接サポート、メンターを引き受けたとします。すると、その人の提供価値が上がります。発注側から見ると、単価アップを通す理由が立ちやすくなります。

これは筆者の発注側としての実感です。データで裏付けた話ではありません(出典: 2026年10月時点の運営者本人の記録より)。交渉が何割通るかといった数字も、資料にないため書きません。

増員の情報は、知るのが早いほど動きやすいと筆者は考えます。増員の話が出た段階で、何を引き受けられるかを具体的に伝えられると、話が進みやすいと感じています。

更新時と増員時は組み合わせられます。更新時に「抜けると困る人」になっておき、増員が決まったときに役割を広げる。この順番が自然だと筆者は考えています。

交渉の前に精算幅を確認する|単価を上げても手取りが増えない月がある

準委任契約は、成果物の完成ではなく、作業を遂行することに責任を負う契約です。善管注意義務(専門家として注意を尽くす義務)が課されます。

精算幅とは、月の稼働時間が一定の範囲を外れたとき、単価を増減させる取り決めです。筆者が経験した契約では、精算幅は140時間〜180時間で、中間の160時間が基準でした(出典: 2026年10月時点の運営者本人の記録より)。

超過と下回りの両方を経験しています。どちらも同じ式で計算されました。

稼働時間 精算幅を外れた部分 精算
195時間 180時間を超えた15時間分 単価÷160時間×15時間を全額上乗せ
130時間(年末年始) 140時間を下回った10時間分 同じ式で控除

下回りの月は、下回った時間分が「単価 ÷ 160時間 × 時間数」で控除されます。単価を上げても、控除が入る月の支給額はその分だけ減ります。筆者の経験では、単価の金額だけで契約を判断すると、ここで想定が外れます。

営業日が少ない月(5月・8月・12月・1月)は、下回り控除のリスクが高まります。契約前に精算幅の下限を確認してください。更新交渉では、単価と一緒に下限も確認する視点が欠かせないと筆者は考えます。

支払いサイトも手取りの体感に関わります。レバテックフリーランスは、月末締め翌月15日払いでした(筆者の実体験。公開情報とも一致)。他社のSESやエージェントでは、30日〜45日サイトの例があります。

精算幅の具体的な体験は準委任契約の精算幅140〜180時間を実際に外した話、確認すべき条項はフリーランスの契約書で確認しておいてよかった2条項に書いています。単価を変えたときの手取りはフリーランスの手取り計算シミュレーションで試算できます。

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