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この記事の要点
- 筆者はSES企業を経営しており、フリーランスエージェントとは一部競合する立場。そのうえで自分に不利な結論を書く。
- 商流が1つ挟まるごとにおおむね10〜15%のマージンが乗る。自社(2次)は15%。エンド発注100万円が要員に渡るときは65.03万円になる。
- 手取りを大きく動かすのはマージン率ではなく商流の深さ。各次のマージンが複利でかかるため、1段深くなるごとに1割前後落ちる。
- レバテックを含む主要エージェントはマージン率を公開していない。Web上の「10〜15%」は筆者が確認した範囲で一次ソースにたどり着けなかった。
- 登録3社の実績。レバテックは80〜85万円提示→83万円で成約。ITプロパートナーズは週3日リモートで55万円。ギークスジョブは75万円で確定したが現場条件が合わず辞退。
- 単価だけでは手残りは決まらない。精算幅140〜180時間、195時間稼働で15時間分が上乗せ、130時間で10時間分が控除。営業日の少ない5月・8月・12月・1月は下回りのリスクがある。
- 支払いサイトはレバテックが月末締め翌月15日払い、他社は30〜45日。資金繰りに直結する。
- 支払いサイトを埋めるために請求書買取を1度使った(2024年・手数料10%・即日入金)。ただし手数料10%は、15日分の前倒しなら年率270%、30日分なら年率135%にあたる。調達手段を探すより、契約前に支払いサイトを確認するほうが先。
筆者はSES企業を経営しており、エージェントとは一部競合します
先に立場を開示します。
筆者はフリーランスエンジニアとして複数のエージェントに登録し、面談を受けて契約した側です。同時に、SES企業を経営して案件を発注する側でもあります(運営者本人の記録、取得日2026年10月10日)。
つまり、フリーランスエージェントとは一部で競合します。要員に動いてほしいと考える点で、利害がぶつかる立場です。
そのうえで、この記事では「エージェント経由のほうが要員の手取りは高くなりやすい」という結論を書きます。筆者にとっては不利な結論です。
なぜそうなるのかを、自社の商流とマージンの実数で説明します。理由はマージン率の差ではありません。商流の深さです。
読む前に、3つだけ断っておきます。
- 記事中に出てくる「10〜15%」は、筆者の自社および自社が関わる商流の実数です。エージェント各社の数字ではありません。
- 取引先が特定される情報、自社の売上・利益・要員数は書きません。
- この記事にはアフィリエイトリンクが含まれます。報酬の有無は評価に反映していません。辞退した案件も、不利な条件もそのまま書きます。
以降の数値は、どこから取った情報かを節ごとに明記します。割り引いて読むかどうかは、読む側で判断してください。
エンド100万円が要員に65.03万円になるまで|自社の商流とマージンの実数
ここがこの記事の核です。以下はすべて、筆者の経営記録(運営者本人、取得日2026年10月10日)からの実数です。
自社が受注するのは、基本的に2次請けか3次請けです。エンド直はほぼ無理です。エンド企業は取引先に最低資本金1億円といった条件を課すところがほとんどで、設立したばかりの会社では届きません。典型的な形はこうです。
エンド企業 → 元請けSIer(1次) → 自社(2次) → 要員(フリーランス/個人事業主)
商流が1つ挟まるごとに、おおむね10〜15%のマージンが発生します。自社(2次)のマージンは15%です。
エンド発注額が100万円/月の案件を、この商流に当てはめた内訳が下の表です。
| 段階 | マージン | 残額 |
|---|---|---|
| エンド発注 | — | 100.00万円 |
| 元請け(1次) | 15% | 85.00万円 |
| 自社(2次) | 15% | 72.25万円 |
| 3次SES | 10% | 65.03万円(要員へ) |
エンドが100.00万円を払い、要員に渡るのは65.03万円です。差は34.97万円あります。
注目してほしいのは、各段階のマージン率そのものではありません。かかり方が複利である点です。
3次SESのマージンは10%です。数字だけ見れば低く見えます。しかしこの10%は、エンド発注額の100.00万円ではなく、すでに2回抜かれた後の72.25万円に対してかかります。だから要員の手取りは、率を単純に足し算した額よりも減ります。
筆者が実務で見ている範囲では、エンドが払う額と要員に渡る額の比は次のようになります。
| 商流の深さ | エンド:要員 | 中間コスト |
|---|---|---|
| 直請け・1次請け | 10 対 8 | 約15〜20% |
| 3次・4次の深層商流 | 10 対 5〜6 | エンド提示額の半分程度しか渡らない |
「マージン10%の会社を選べば手取りが増える」という考え方が効きにくいのは、ここが理由です。マージン10%を掲げる会社でも、その上で2段抜かれていれば、要員の手取りは1次の会社より低くなり得ます。
マージン率は「1段あたりいくら引かれるか」の話です。商流の深さは「何段引かれるか」の話です。後者のほうが、手取りを大きく動かします。
エンド120万円で試算すると、1次と3次の差は年216万〜288万円
前節の数字は自社の実数です。読者の単価帯に当てはめられるよう、別の金額でも計算しておきます。
以下は実在の案件ではありません。前節の自社マージン率(運営者本人の経営記録、取得日2026年10月10日)を、エンド発注120万円/月という仮定に当てはめた計算です。
| 経路 | 計算 | 要員の手取り(月) |
|---|---|---|
| 1次(エージェント直・マージン15%と置く) | 120×0.85 | 102.0万円 |
| 1次(同・マージン20%と置く) | 120×0.80 | 96.0万円 |
| 3次(15%→15%→10%) | 120×0.85×0.85×0.90 | 78.0万円 |
| 4次(15%→15%→10%→10%) | 78.0×0.90 | 70.2万円 |
1次(102.0万円または96.0万円)と3次(78.0万円)の差は、月18万〜24万円です。年に直すと216万〜288万円になります。
この幅がなぜ生じるのかも書いておきます。エージェントのマージン率が公開されていないからです。1次のマージンを15%と置けば月24万円差、20%と置けば月18万円差になります。筆者はどちらが正しいか確認できていません。だから幅のまま出しています。
同じ理由で、「3次だと必ず78.0万円になる」とも言えません。各社のマージンが自社と同じ率とは限らないためです。この表は、商流が1段深くなるごとに手取りが1割前後ずつ落ちる、という構造の大きさを見るためのものです。
なお、月18万〜24万円の差が出る単価帯になると、個人事業主のままでいるか法人化するかの分岐点にも近づきます。手元にいくら残るかは税負担でも変わります。税負担の比較は法人化シミュレーター|個人事業主のままと法人化、どちらが手元に残るかで試算できます。

主要エージェントのマージン率は公開されていない、という事実のほうを書きます
「マージン率の低いエージェントを選べば手取りが増える」。比較している段階の方は、そう考えていることが多いと思います。
この前提には、前段階の問題があります。比較するための数字が公開されていないという問題です。
レバテックを含む主要エージェントは、マージン率を公式に公開していません(筆者が確認した範囲、2026年10月10日時点)。Web上の記事には「10〜15%」という数字が多数出てきますが、筆者が確認した範囲では一次ソースにたどり着けませんでした。
この記事で使った10〜15%は、繰り返しになりますが筆者の自社および自社が関わる商流の実数です。エージェント各社の数字ではありません。ここを混ぜると、記事そのものが誤りになります。
もうひとつ、よく見かける話があります。「営業担当がマージンを削って単価に充ててくれることがある」というものです。これについて筆者は断定できません。他社の社内決裁に関わる話で、知り得ないからです。
書けるのは構造的な動機までです。要員が抜ければ、その契約の売上は止まります。だから引き留める動機は、発注する側に必ずあります。これは発注側としての一般論であり、特定の会社がそうしているという主張ではありません。
エージェント経由の手取りが高くなりやすい理由は、商流の浅さです
マージン率が分からないのに、なぜ冒頭で「エージェント経由のほうが手取りは高くなりやすい」と書いたのか。理由は率ではなく商流だからです。
- エージェントは直請け(エンド直)のパイプラインを持っています。商流が浅く、実質1次になります。
- 小規模SESを経由すると、商流が3次・4次と深くなりやすくなります。各社が営業固定費と社内留保を引くため、要員への還元額が目減りします。
前節の試算でいえば、1次で102.0万円または96.0万円、3次で78.0万円という差です。この差は、各社が何%取るかを比べる前に、すでについています。
ただし、これは「エージェントなら必ず浅い」という意味ではありません。エージェントが扱う案件がすべてエンド直とは限りませんし、筆者は各社の案件構成を知りません。確認できるのは、自分が受けた案件が何次なのかだけです。
登録して初めて知った「商流制限」
クライアント側が「n次請け以上は契約不可」という制約を設けている場合があります。商流が深い会社は、そもそもその案件に参画できません。商流の深さは単価だけの問題ではなく、受けられる案件の範囲そのものが変わります。
詳しくは商流制限とは|n次請け以上は契約不可という制約に書いています。
単価だけ見ても手残りは決まらない|精算幅140〜180時間と支払いサイトの実例
ここからは、発注する側ではなく登録した側としての記録です。
月額単価が同じでも、手取りと資金繰りは変わります。常駐・準委任で実際にあったことを書きます(運営者本人の記録、取得日2026年10月10日)。
精算幅は140時間〜180時間でした
契約は準委任で、精算幅は140〜180時間・中間160時間基準でした。範囲内なら月額単価がそのまま支払われ、外れた分だけ 単価 ÷ 160時間 × 外れた時間数 で増減します。195時間稼働した月は15時間分が上乗せされ、130時間だった月は10時間分が控除されました。
上限より下限のほうが見落とされます。営業日の少ない月は下限割れが起きます。実際の金額と計算の詳細は準委任の精算幅140〜180時間とは何かに書いています。
支払いサイトは会社によって差がありました
| 支払いサイト | |
|---|---|
| レバテック | 月末締め翌月15日払い(本人の実体験。公開情報とも一致) |
| 他社SES/エージェント | 30日〜45日サイト(翌月末・翌々月5日払いなど) |
単価が同じでも、入金が15日か翌々月5日かで資金繰りは変わります。開業直後で手元資金が薄い時期ほど効きます。
なお、ここまでに出てきた単価から実際に手元に残る額を知りたい場合は、フリーランスエンジニアの手取り計算機で試算できます。単価が税込か税抜か、稼働月数が何ヶ月かまで入れて計算します。
支払いサイトを埋めるために請求書買取を使ったことがあります
支払いサイトが長い案件で、請求書買取を1度だけ使いました(2024年・手数料10%・申込から入金まで即日)。常用はしていません。
ここで注意が要ります。手数料10%という数字だけでは、高いか安いか判断できません。資金調達のコストとして見ると、受け取った90に対して10を払うので実質11.1%です。これを前倒しできた日数で年率に直すと、15日なら年率270.4%、30日なら135.2%、60日なら67.6%になります。
この記事で先に書いた支払いサイトの差は15〜30日でした。その差を埋めるためだけに10%払うなら、年率135〜270%の資金調達です。資金繰りが苦しくなってから調達手段を探すより、契約前に支払いサイトを確認するほうが先になります。
前倒し日数別の換算表と、実際に使ったときの条件は請求書買取の手数料10%は年率何%にあたるのかに書いています。なおこの年率換算は筆者が計算した目安で、事業者が示す数字ではありません。
手数料は利用時点の条件をご確認ください。上の年率換算は筆者が計算した目安です。
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確認しておいてよかった条項
確認しておいてよかったのは2つです。競業避止・直接契約の禁止(契約終了後、そのクライアントと直接契約できない)と、著作権の帰属と実績公開の可否(社名を伏せて構成図のみ可、といった範囲)。どちらも、契約が終わったあとの選択肢を先に決めてしまう条項です。
なぜ発注側がこれを入れるのかも含めて、フリーランスの契約書で確認しておいてよかった2つの条項に書いています。
登録した3社の提示額と結果|レバテック83万円成約、ギークス75万円確定で辞退
続いて、実際に登録・面談した3社の提示額と結果です(運営者本人の記録、取得日2026年10月10日)。
| エージェント | 時期 | 提示単価(月) | 想定案件 | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| レバテックフリーランス | 約2年前(2024年ごろ) | 80万〜85万円 | 大手Web系バックエンド(Go/React/AWS) | 面談当日に3件提案。1件で即日面談が設定され83万円/月で契約成立 |
| ITプロパートナーズ | 約1年半前(2025年前半ごろ) | 50万〜65万円(週3〜4日) | スタートアップのCTO補佐・技術顧問 | 週3日リモートで55万円/月に着任。現在も継続中 |
| ギークスジョブ | 約3年前(2023年ごろ) | 70万〜75万円 | 老舗SIer配下の基幹刷新(Java/Vue.js) | 75万円で確定したが辞退。出社必須・残業多めで折り合わず |
先に注意書きを置きます。これは筆者が受けた3社の提示を比べた範囲の話です。各社の平均単価も案件数も、筆者は知りません。同じ人が同じ時期に3社を受けた比較でもありません(時期が1〜3年ずれています)。
そのうえで、記録から言えることを3つ書きます。
提示額は上振れすることがあります
レバテックの当初提示は「80万〜」でした。最終的な契約額は83万円です。クライアント面談での評価が高く、提示レンジの上限側に+3万円/月で着地しました。
提示額は確定額ではありません。下振れもあり得ます。面談前の数字をそのまま手取りの計算に使わないほうがよい、ということです。
エージェントによって提示レンジが違いました
週5換算で比べると、老舗・SIer系案件が中心のギークスジョブ(提示70万〜75万円)に比べ、直請け比率の高いレバテック等(提示80万〜85万円)のほうが月5万〜10万円高く提示される傾向がありました。
これも「各社の単価が高い/低い」という話ではなく、案件の商流がどこにあるかの差だと筆者は見ています。ただし各社の案件構成を確認したわけではないので、断定はしません。
確定した案件を辞退する選択もあります
ギークスジョブ経由の案件は75万円で確定していました。それでも辞退しています。出社必須・残業多めという現場条件が合わなかったためです。
ITプロパートナーズでは、週3日リモートで55万円/月に着任しました。週5換算の額だけ見れば低く見えます。残りの2日をどう使うかまで含めると、筆者にとってはこちらが合いました。
単価の数字だけで並べると、この判断は説明できません。
面談で聞かれたこと
3社とも、技術スタックの確認だけでは終わりませんでした。深掘りされたのは次の点です。
- 直近のプロジェクトで、どんな意思決定をしたか
- トラブル時の対応実績
- リモートでのコミュニケーションスタイル
希望単価については、「最低ライン(これ以下なら受けない)」と「目標ライン」を分けて出すよう求められました。1つの数字だけ伝えると、それが上限として扱われる可能性があります。
紹介までの速さにも差がありました。レバテックは面談中〜当日中に数件。ITプロパートナーズは2〜3日かかりました。週3〜4日の変則案件が多く、マッチングの精査に時間がかかったのだと理解しています(本人の推測です)。
発注する側から見て、単価が上がる人と上がらない人は何が違うか
ここまでは構造の話でした。最後に、自分で動かせる部分を書きます。
以下は筆者が発注側として持っている判断基準です(運営者本人の記録、取得日2026年10月10日)。業界全体の基準ではありません。
| 上がらない人 | 上がる人 |
|---|---|
| 与えられたタスクを書くだけの人 | 課題を言語化できる人 |
| 技術力はあっても、仕様の不備を指摘できない人 | 現場の意思決定コストを減らせる人 |
| 現場でのコミュニケーションコストが高い人 | ドキュメント化・技術選定の根拠説明・他メンバーのメンターまで巻き取れる人 |
技術力があっても上がらない場合がある、というのが実感に近いところです。仕様の不備に気づかず進めてしまう人、確認のたびに時間がかかる人は、発注側から見ると「手がかかる」側に入ります。
交渉が通りやすいタイミングは2つあります
1つ目は契約更新時(3ヶ月・6ヶ月経過後)です。
初回は実績が見えません。だから買い叩かれやすくなります。逆に言えば、数ヶ月の実績が出た後は、評価の材料が揃っています。「この人が抜けるとプロジェクトが止まる」状態を作ったうえで交渉するのが現実的です。
2つ目は、現場の増員が決まった瞬間です。
既存のフリーランスが紹介・面接サポート・メンターを引き受けると、提供価値が明確に上がります。このタイミングは単価アップが通りやすい、というのが発注側としての実感です。
増員は、発注側にとって負荷が増える局面でもあります。その負荷を引き取れる人に対しては、単価を上げる説明が社内でもしやすくなります。
それでも、商流は個人では動かせません
最後に、この節の限界も書いておきます。
上の交渉が通っても、動くのは1段分の取り分です。エンド100.00万円が65.03万円になる商流の構造そのものは、要員の側からは変えられません。
できるのは、契約前に「この案件は何次なのか」を確認することです。商流制限がある案件なら、浅い商流でしか成立しません。そこは質問すれば分かります。
マージン率を比べる前に、商流の深さを聞く。この記事で伝えたいのはそこまでです。乗り換えるかどうかは、自分の案件の数字を当てはめてから判断してください。
最後にもう一度だけ書いておきます。支払いサイトの差を埋める手段として請求書買取に触れましたが、手数料10%は前倒しできる日数しだいで年率45%〜270%に相当します。先に確認すべきなのは契約の支払いサイトのほうで、調達はその次です。そのうえで条件を見たい場合はこちらです。
手数料は利用時点の条件をご確認ください。年率換算は筆者が計算した目安です。


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