フリーランスエージェント3社の面談で聞かれたこと

3社の面談を受けた側と、発注する側から フリーランス

この記事の要点

  • 筆者はSES企業を経営しており、エージェントとは一部競合する立場。そのうえで書いている。
  • 技術スタックの確認では終わらなかった。深掘りされたのは「直近のプロジェクトでどんな意思決定をしたか」「トラブル時の対応実績」「リモートでのコミュニケーションスタイル」の3点。
  • 希望単価は「最低ライン(これ以下なら受けない)」と「目標ライン」を分けて出すよう求められた。
  • 面談から紹介までの速さには差があった。レバテックは面談中〜当日中に数件。ITプロパートナーズは変則案件が多いためか2〜3日。
  • 発注する側から見ると、単価が上がらないのは「与えられたタスクを書くだけの人」。技術力があっても、仕様の不備を指摘できない人はそこで止まる。
  • 上がるのは課題を言語化できる人、現場の意思決定コストを減らせる人。ドキュメント化・技術選定の根拠説明・メンターまで巻き取れる人。

筆者はSES企業を経営しており、エージェントとは一部競合する立場です

最初に利害関係を開示します。

筆者はSES企業を経営しています。SESとは、クライアント先に技術者を常駐させて労務を提供する契約形態のことです。つまり筆者は、フリーランスエンジニアに案件を発注する側です。フリーランスエージェントとは、要員を押さえるという意味で一部競合します。

同時に筆者は、自分自身がフリーランスエンジニアとして複数のエージェントに登録し、面談を受けた本人でもあります。この記事はその両方の視点で書きます。

そのうえで、自社に不利な結論も先に書いておきます。エージェント経由のほうが、要員の手取りは高くなることが多いです。理由はマージン率の差ではなく、商流の深さの差です。小規模SESを経由すると商流が3次・4次と深くなりやすく、その分だけ要員に渡る額が目減りします。この点は記事の最後に関連記事へつなぎます。

以下に出てくる単価・時間・支払日などの数値は、すべて2026年10月10日時点で運営者本人がまとめた記録によるものです。出どころは筆者本人の実体験で、各社の公表値ではありません。

面談を受けた3社と、その結果(2023年ごろ〜2025年前半の記録)

筆者が登録して面談を受けたのは次の3社です。いずれも本人の記録(2026年10月10日時点)からの抜粋です。

エージェント 時期 提示単価(月) 想定案件 結果
レバテックフリーランス 約2年前(2024年ごろ) 80万〜85万円 大手Web系バックエンド(Go/React/AWS) 面談当日に3件提案。1件で即日クライアント面談が設定され、83万円/月で契約成立
ITプロパートナーズ 約1年半前(2025年前半ごろ) 50万〜65万円(週3〜4日) スタートアップのCTO補佐・技術顧問 週3日リモートで55万円/月に着任。現在も継続中
ギークスジョブ 約3年前(2023年ごろ) 70万〜75万円 老舗SIer配下の基幹刷新(Java/Vue.js) 75万円/月で確定したが辞退。出社必須・残業多めで折り合わず

先に性質を断っておきます。3社とも提案までは進みました。面談で落ちた経験は、この記録の中にはありません。

ですからこの記事は「落ちた人の反省記」ではありません。提案が出た人が、面談で何を聞かれたかの記録です。落選の原因を知りたい方には、この記事は向きません。

もう一点、書けないことも明示します。各社の面談にかかった時間、担当者が何人だったか、オンラインだったか対面だったかは記録に残していません。そのため本記事では触れません。

単価の傾向について、ひとつだけ補足します。週5日換算で比べると、老舗・SIer系案件が中心だったギークスジョブ(70万〜75万円)より、レバテックの提示(80万〜85万円)のほうが月5万〜10万円高く出ました。ただしこれは、筆者1人が3社から受けた提示を並べただけの話です。各社の平均単価ではありませんし、時期も案件内容も違います。

技術スタックの確認では終わらなかった|深掘りされた3点

面談で聞かれたのは、使える言語やフレームワークの確認だけではありませんでした。記録に残っている範囲で、深掘りされたのは次の3点です(2026年10月10日時点の本人記録より)。

1. 直近のプロジェクトでどんな意思決定をしたか

「何を作ったか」ではなく「何を決めたか」を聞かれました。技術選定、設計の分岐、やらないと判断したこと。そうした判断の中身です。

2. トラブル時の対応実績

障害や炎上の場面で、実際に何をしたかです。順調だった案件の話ではありませんでした。

3. リモートでのコミュニケーションスタイル

どのくらいの粒度で報告するか、非同期でどう進めるか、といった働き方の部分です。

この3点は、筆者が実際に深掘りされた項目です。逆に「聞かれなかった項目」については推測で書きません。エージェントや担当者によって変わる可能性があります。

発注する側から見ると、この3点を聞く理由は想像がつきます

筆者はSES企業の経営者として、要員を現場に出す側でもあります。その立場から補足します。

発注側が見ているのは、その人が現場の意思決定コストを減らせるかどうかです。

現場で一番コストがかかるのは、手を動かす時間ではありません。誰かが判断しないと進まない状態で止まっている時間です。仕様の曖昧さを誰も指摘しない、障害時に判断できる人がいない、リモートで状況が見えない。こうした場面では、人が増えても進みません。

意思決定の経験、トラブル対応、リモートでの振る舞い。この3つは、そこに直結します。面談対策として暗記する種類の質問ではなく、実際にやってきたことがそのまま出る質問だと感じました。

希望単価は「最低ライン(これ以下なら受けない)」と「目標ライン」を分けて出すよう求められた

この記事で一番書きたかったのがここです。

希望単価は、ひとつの数字では聞かれませんでした。「最低ライン(これ以下なら受けない)」と「目標ライン」の2つに分けて出すよう求められました(2026年10月10日時点の本人記録より)。

最低ラインを伝えると、そこまで値切られるのではないか。そう感じる方もいると思います。筆者も最初はそう思いました。

ただ、実際の記録を見ると、提示額が下振れしたケースはありませんでした。むしろ上振れした例があります。

レバテックの提示は「80万〜」、契約は83万円/月

レバテックフリーランスの当初提示は「80万〜85万円/月」でした。実際に契約が成立したのは83万円/月です。当初の下限80万円と比べると、月3万円上がった形になります。クライアント面談での評価が高かったことが理由と聞いています。

つまり、エージェントが出す提示額はレンジであり、クライアント面談の結果で動きます。最初に伝えた数字がそのまま天井になるわけではありませんでした。

金額が通っても、条件で辞退した案件があります

ギークスジョブの案件は75万円/月で確定しました。希望としては通った金額です。それでも辞退しました。出社必須で残業も多めという条件が、折り合わなかったためです。

受諾の判断には、単価以外の条件も入ります。最低ラインと目標ラインを考えるとき、金額だけで引いた線は役に立たないことがある、というのが実感です。

週5換算ではない働き方もあります

ITプロパートナーズでは、週3日リモートで55万円/月の案件に着任しました(2025年前半ごろ、現在も継続中)。提示レンジは50万〜65万円/月で、週3〜4日が前提です。

この会社は週5常駐以外の案件が中心でした。週5で働く前提の希望単価をそのまま伝えると、話が噛み合いません。「週何日で、いくら」という形で分けて考える必要がありました。

マージン率については断定できません

希望単価の話になると、エージェントの取り分が気になると思います。

ここは正直に書きます。エージェント各社がマージン率をどう設定しているかは公開されていません。Web上には「10〜15%」といった数字が多数出回っていますが、一次ソースを確認できませんでした。そのため本記事では、特定の会社のマージン率を断定しません。

面談から紹介までの速さには差があった|当日3件と、2〜3日の精査

初回面談のあと、どのくらいで案件が出てくるか。ここにも差がありました(2026年10月10日時点の本人記録より)。

エージェント 面談から紹介までの速さ
レバテックフリーランス 面談中〜当日中に紹介。実際に当日3件の提案があり、うち1件は即日クライアント面談が設定された
ITプロパートナーズ マッチングの精査に2〜3日
ギークスジョブ 記録に残っていないため書けません

ここで「レバテックのほうが優秀」という結論にはしません。扱っている案件の性質が違うためです。

週5常駐の案件は要件が定型化しやすく、手持ちの案件とすぐ突き合わせられます。一方、ITプロパートナーズで紹介されたのは週3〜4日の変則案件でした。稼働日数・リモート可否・役割の擦り合わせが増えるぶん、精査に時間がかかったと考えられます。

速さは、案件の種類の差として受け取るのが実態に近いと感じました。

発注する側から見た、単価が上がる人と上がらない人

ここからは面談の話ではありません。常駐が始まったあとの振る舞いの話です。発注側として実際に要員の単価を決めている立場から書きます。

振る舞い
上がらない人 与えられたタスクを書くだけの人。技術力があっても、仕様の不備を指摘できない。現場でのコミュニケーションコストが高い
上がる人 課題を言語化できる人。現場の意思決定コストを減らせる人。ドキュメント化、技術選定の根拠説明、他メンバーのメンターまで巻き取れる

技術力が高いのに単価が上がらない人は、実際にいます。言われた範囲を正確に実装するけれど、仕様の穴には触れない。結果として、判断する人の負荷が減りません。

逆に、課題を言葉にして出してくれる人は、現場の進みが変わります。面談で深掘りされた3点が、そのままここにつながっていると感じます。

交渉の余地が実際にある場所は2つあります

1つ目は契約更新時です。3ヶ月・6ヶ月が経過したタイミングです。初回契約の時点では実績が見えないため、買い叩かれやすい構造があります。逆に言えば、実績が見えてからのほうが材料があります。

2つ目は、現場の増員が決まった瞬間です。既存のフリーランスが候補者の紹介や面接サポート、着任後のメンターを引き受けると、提供している価値そのものが増えます。この状態での単価アップは通りやすい、というのが発注側としての実感です。

構造の話も書いておきます。要員が抜ければ、その契約の売上は止まります。ですから発注側には、引き留める動機が構造的に存在します。

ただし、だから必ず単価が上がるとは言えません。特定の会社の社内決裁がどうなっているかは、外からは分かりません。ここは断定しないでおきます。

面談で単価を詰める前に確認しておきたかった3つの条件

面談の時点では見えないのに、契約段階で効いてくる条件があります。筆者が登録して初めて知ったもの、実際に外して学んだものを挙げます。

1. 商流制限がある

クライアント側が「n次請け以上は契約不可」という制約を設けていることがあります。これを商流制限と呼びます。商流とは、エンド企業から自分までに何社挟まっているかを指します。

筆者はエージェントに登録して初めてこの条件を知りました。単価の前に、そもそも契約できるかどうかが決まる条件です。詳しくは別記事にまとめています。

商流制限とは|エージェントに登録して初めて知った「n次請け以上は契約不可」という条件

2. 支払いサイトが会社によって大きく違う

支払いサイトとは、稼働した月の報酬がいつ振り込まれるかの期間です。ここは会社差が大きい項目でした。

支払い条件 内容
レバテック 月末締め翌月15日払い(本人の実体験)
他社SES/エージェント 30日〜45日サイト(翌月末払い、翌々月5日払いなど)

独立直後は、ここが資金繰りに直結します。初月の入金が翌々月5日になる場合、着任から入金まで2ヶ月以上空きます。単価だけを見て選ぶと、この差を見落とします。

3. 準委任契約の精算幅

筆者の契約形態は準委任契約でした。準委任とは、成果物の完成ではなく業務の遂行に対して報酬が発生する契約です。

精算幅は140時間〜180時間(中間160時間基準)でした。実際に上下どちらも外した記録があります。

月 稼働時間 精算
超過した月 195時間 180時間を超えた15時間分を「単価÷160時間×15時間」で計算し、全額上乗せ支給
下回った月 130時間(年末年始) 140時間を下回った10時間分を同じ式で控除

注意したいのは下回りのほうです。営業日が少ない5月・8月・12月・1月は、普通に働いていても下限を割る可能性があります。契約前に精算幅の下限を確認しておく必要があります。

準委任の精算幅140〜180時間を実際に外した話|195時間の月と130時間の月でいくら動いたか

契約書で確認しておいてよかった条項

あわせて、契約書で範囲を詰めておいてよかった条項が2つあります。

  • 競業避止・直接契約の禁止:契約終了後、そのクライアントと直接契約できない期間が定められていました
  • 著作権の帰属と実績公開の可否:「社名は伏せて構成図のみ公開可」といった範囲を、文面で取り交わしました

実績公開の範囲は、次の案件の提案材料に関わります。口頭で済ませず文面にしておくと、後から揉めません。

フリーランスの契約書で確認しておいてよかった2つの条項|競業避止と実績公開の範囲

手取りを一番動かすのは、マージン率ではありませんでした

最後に、冒頭で書いた結論に戻ります。

エージェントのマージン率は公開されていません。一方で、案件が何次の商流にあるかは、契約前に確認できます。そして手取りを大きく動かすのは後者でした。自社の実数を出して説明した記事があります。

フリーランスの手取りはマージン率より商流で決まる|SES経営者が自社の実数を出して説明します

この記事の数値は、すべて2026年10月10日時点の運営者本人の記録によるものです。各社の公表値ではなく、筆者1人が2023年ごろ〜2025年前半に経験した範囲の話です。同じ条件が提示されるとは限らない点だけ、お含みおきください。

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