個人事業主の税金の計算方法|5つの税・社保を何の順で引くか、計算機の式と定数を全公開(令和8年分)

令和8年分・計算機の仕様を公開 会計・確定申告

この記事の要点

  • 個人事業主にかかるのは所得税・住民税・個人事業税・国民年金・国民健康保険の5つ
  • 控除額は所得税と住民税で違う。住民税の基礎控除は所得に関係なく43万円で固定
  • 個人事業税は青色申告特別控除を足し戻して計算する。プログラマ・SEは税率0になりうる

個人事業主の税金は5つが別々の式で決まる|計算機が使う10ステップの順序

この記事は、当サイトの税金シミュレーターが内部でどの順序で計算しているかを説明するものです。税務相談ではありません。正確な額は税務署または税理士にご確認ください。

掲載する定数は、令和8年(2026年)分を2026年10月時点で確認したものです。出典は当サイト計算機の計算根拠(取得日2026年10月28日)です。

個人事業主にかかる税金と社会保険料は1つではありません。所得税、住民税、個人事業税、国民年金、国民健康保険の5つが、それぞれ別の式で決まります。

先に用語を説明します。事業所得は、売上から経費と青色申告特別控除を引いた額です。課税所得は、税率を掛ける対象になる額で、所得から各種控除を引いたあとの数字です。

計算機は次の10ステップを順番に処理します。

ステップ 計算内容 式
1 事業所得 売上 − 経費 − 青色申告特別控除
2 国民年金 17,920円 × 12 = 215,040円
3 国民健康保険 (事業所得 − 430,000) × 所得割率 + 均等割
4 社会保険料控除 国民年金 + 国民健康保険
5 所得税の課税所得 事業所得 − 社会保険料控除 − 基礎控除 − 配偶者控除 − 扶養控除
6 所得税 累進税率で計算した額 × 1.021(復興特別所得税)
7 住民税の課税所得 事業所得 − 社会保険料控除 − 430,000 − 各控除
8 住民税 課税所得 × 10% + 均等割5,000円 + 森林環境税1,000円
9 個人事業税 (事業所得 + 青色申告特別控除 − 2,900,000) × 業種別税率
10 手取り 売上 − 経費 − 所得税 − 住民税 − 事業税 − 社会保険料

社会保険料は、所得税と住民税の課税所得を計算する前に差し引かれます。そのため、ステップ2〜3を先に計算する順序になっています。

数字を入れて試したい場合は、個人事業主の税金シミュレーションをご利用ください。この記事は、その中で何をしているかの説明です。

所得税と住民税では控除額が違う|基礎控除・配偶者控除・扶養控除の比較

控除とは、課税の対象になる額から差し引く金額のことです。同じ名前の控除でも、所得税と住民税では額が違います。

出典は当サイト計算機の計算根拠(令和8年分、2026年10月時点で確認)です。

控除 所得税 住民税
基礎控除 合計所得に応じて変動(下表) 430,000円(固定)
配偶者控除・扶養控除 380,000円 330,000円

住民税の基礎控除は、所得に関係なく430,000円で固定です。一方、所得税の基礎控除は合計所得金額によって段階的に変わります。

合計所得金額 所得税の基礎控除
4,890,000円以下 1,040,000円
6,550,000円以下 670,000円
23,500,000円以下 620,000円
24,000,000円以下 580,000円
24,500,000円以下 390,000円
25,000,000円以下 200,000円
25,000,000円を超える 0円

国民健康保険の計算(ステップ3)でも、430,000円が差し引かれます。住民税の基礎控除と同じ額ですが、用途は別です。

注意点として、この表は計算機の定数です。配偶者や扶養家族の条件は、この記事では扱っていません。該当するかどうかは税務署等でご確認ください。

所得税は7段階の累進税率に復興特別所得税2.1%が乗る

累進税率とは、課税所得が大きいほど高い税率が適用される仕組みです。各段階の税率は、その段階に入る部分にだけかかります。

出典は当サイト計算機の計算根拠(令和8年分、2026年10月時点で確認)です。

課税所得 税率 速算控除額
1,950,000円以下 5% 0円
3,300,000円以下 10% 97,500円
6,950,000円以下 20% 427,500円
9,000,000円以下 23% 636,000円
18,000,000円以下 33% 1,536,000円
40,000,000円以下 40% 2,796,000円
40,000,000円を超える 45% 4,796,000円

速算控除額は、税率を掛けたあとに差し引く計算上の調整額です。所得控除とは別のものです。

所得税額が決まったら、そこに1.021を掛けます。これは所得税額の2.1%にあたる復興特別所得税を上乗せする処理です。

累進税率のため、売上が上がるほど手残りの割合は下がります。当サイトの早見表(稼働12か月、経費は売上の10%などの前提)では、月額単価50万円で手残り率が68.4%、100万円で61.5%でした。

個人事業税だけ扱いが違う|青色申告特別控除の足し戻しと事業主控除290万円

個人事業税は、所得税や住民税と計算の土台が違います。計算式は次のとおりです。

個人事業税 = (事業所得 + 青色申告特別控除 − 2,900,000) × 業種別税率

出典は当サイト計算機の計算根拠(令和8年分、2026年10月時点で確認)です。

ここでは、いったん引いた青色申告特別控除を事業所得に足し戻しています。計算機は、事業税の計算では青色申告特別控除を認めない扱いとしているためです。足し戻したうえで、事業主控除290万円を差し引きます。

税率は業種によって違います。計算機の既定値として、第1種事業の税率は5%です。

ただし、プログラマやSEは法定業種に当たらない場合があります。計算機では税率を0にも選べます。該当するかどうかは、この記事では断定しません。お住まいの都道府県税事務所や税務署で確認してください。

当サイトの早見表は、個人事業税を非課税業種(税率0)として計算しています。筆者の判断では、この前提の違いが結果に大きく影響するため、自分の業種を確認してから数字を見てください。

国民健康保険が一番ぶれる|自治体差・前年所得・介護分の加算

5つの中で国民年金は定額です。一方、国民健康保険は自治体ごとに料率が大きく違うため、最もぶれやすい項目です。

出典は当サイト計算機の計算根拠(令和8年分、2026年10月時点で確認)です。

項目 計算機の既定値
所得割率 10.31%(医療7.51% + 支援2.80%)
均等割 65,200円(医療47,600円 + 支援17,600円)
賦課限度額 1,130,000円
介護分(40〜64歳) 料率2.25%、均等割16,600円が加算

既定値は葛飾区の令和8年度の料率です。自治体によって料率は異なるため、計算機では利用者が料率を変更できます。

所得割は所得に応じてかかる部分、均等割は人数などに応じて定額でかかる部分です。賦課限度額は、保険料の上限額です。

国民健康保険は本来、前年の所得で決まります。計算機は当年の所得で計算する概算です。この違いは、開業初年度ほど大きくなる可能性があります。

月額80万円で10ステップを通した結果と、計算に含めていないもの

ここでは、早見表の月額80万円のケースを例に、10ステップを通した結果を示します。出典は当サイト計算機の計算根拠(令和8年分、2026年10月時点で確認)です。

前提:稼働12か月、経費は売上の10%、青色申告特別控除65万円、39歳以下(介護分なし)、個人事業税は税率0、国保は所得割10.31%・均等割65,200円、税抜の月額単価で計算。

項目 金額
年商(税抜) 9,600,000円
経費(売上の10%) 960,000円
国民年金 215,040円
国民健康保険 844,636円
所得税(復興税込み) 852,024円
住民税 656,032円
個人事業税 0円
手取り 6,072,267円(手残り率63.3%)

この例では、国民健康保険(844,636円)が国民年金(215,040円)の約3.9倍です。前提が変われば結果も変わる概算です。

計算機には、次の項目を含めていません。

含めていないもの 理由
消費税の納税額 インボイス登録の有無や簡易課税の選択で大きく変わるため
小規模企業共済・iDeCo 「その他の所得控除」として利用者が自分で入力する形のため
医療費控除・住宅ローン控除 同上
国保の前年所得ベース 当年所得での概算としているため
自治体差 既定値は葛飾区のみで、料率は変更可能

これらを含めないと、実際の納税額とは差が出ます。特に消費税は、課税事業者になるかどうかで金額が大きく変わります。

単価から手取りを試算したい場合は、フリーランスの手取り計算シミュレーションもご覧ください。

この記事は税額の計算方法を説明するものです。節税の方法は扱っていません。正確な額は、税務署または税理士にご確認ください。

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